活用事例 | 東急不動産株式会社
事例サマリー
東急不動産HDの中核企業。契約業務DXツール『Musubell』を新築マンション販売に導入し、顧客が非対面で安全かつ低コスト(印紙代不要)に契約できる体制の構築に貢献しています。
企業概要
事業概要
東急不動産ホールディングスの中核会社。オフィスビル・商業施設の開発・賃貸、分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」シリーズの開発、リゾート・ホテル事業、再生可能エネルギー事業などを展開する、国内トップクラスの総合デベロッパーです。
アセット規模・種類
東急不動産HD連結の売上高は年間1兆円を突破。広域渋谷圏をはじめ、都心部から全国のリゾートエリアに膨大な資産を保有・管理しています。
経営課題とDX方針
経営・業務の課題
開発・管理・運営・仲介という各バリューチェーン間で情報がサイロ化していたこと。また、現場での手作業の多さと人手不足の解消。
目指す目標
デジタルの力であらゆる境界を取り除き、オンラインとオフラインの融合(OMO)、グループ連携を最大化させる。
DX方針・取り組み
「Digital Fusion」を掲げ、全社データ分析プラットフォームの構築、生成AIの自社システム組み込み、顧客向けデジタル体験(OMO)の最大化を推進。DX認定事業者。
直近5年の財務情報
ツールの導入と財務状況の関連
渋谷再開発プロジェクトや投資家向け物件売却が非常に好調で、直近5期連続で増収を記録し、営業利益も過去最高を更新し続けています。2025年12月頃に「Musubell」を全社的に導入。これにより分譲マンションや住宅販売における契約書作成、チェック承認、顧客への電子契約依頼をクラウド化。印紙税や印刷・郵送事務コストを劇的に削減し、販売サイクルのスピードアップを達成したことで、営業利益率の上昇(1200億円台から1600億円台への大幅成長)を後押ししています。
当サイト未掲載の他ツール導入情報
- Dr.Sum Cloud / MotionBoard Cloud (BIデータ分析)
- BizForecast (収支・資金管理)
- intra-mart (決裁基盤)
- TFHD Chat (独自生成AI)
導入ツールと活用事例
Musubell
多様な年代の販売スタッフがいる中で全員がスムーズに使いこなせるようになるまでは、導入推進担当者による地道なサポートや丁寧な個別レクチャーを要したが、現在では販売現場に不可欠なツールとして完全に定着している。
年間で発生する莫大な印紙代や郵送費、印刷製本の手間、および物理的な移動・デリバリー時間をほぼ全廃したため、導入費用に対して得られるコスト削減インパクトは極めて大きい。
モデルルーム販売現場、承認(検印)部門、本社の間で分断されていた契約・承認フローを一元化し、単なる「電子署名」を超えて「申し込みから契約・決済」までを一気通貫でDX化している。
導入前の課題
デジタル社会への移行や宅建業法の改正に伴い、顧客サービスとして「電子契約」という多様なニーズに対応する選択肢の提示が急務であった。また、従来の紙契約に伴う膨大な印刷・製本作業、複数部門間での契約書の受け渡しや物理的な検印(承認)プロセスに多大な人的労力と時間がかかっていた。加えて、契約に伴う印紙代などのコスト負担を削減することも社内的な重要課題となっていた。
選定理由
不動産取引(特にデベロッパー向け新築分譲マンション売買)の複雑な業務フローに特化して設計されている点。単に外部作成されたPDFに電子署名を行う他社サービスとは異なり、Musubellはシステム内で書類作成から顧客情報との連携、承認プロセス、管理までを一貫して完結できる点が高く評価された。さらに、東急不動産が掲げる長期経営方針「環境経営」と「DX推進」に合致する世界観(ペーパーレス化による環境負荷低減)を有していたこと。
実施内容・プロセス
新築分譲マンションの売買契約から引き渡しにいたる契約業務全体の電子化を推進。導入推進担当者を中心に、多世代にわたる販売担当現場スタッフのIT習熟度に応じた丁寧かつ根気強いレクチャー・研修サポートを重ねた。契約書類の作成、承認、押印、管理にいたるワークフロー全体をMusubell上でシームレスにデジタル化するプロセスを構築した。
得られた効果
電子契約の選択率は初年度から順調に伸長し、現在では80%超という極めて高い浸透率を達成した。契約書作成から社内承認(検印)までの全工程がシステム上で完結するようになり、現場から本社への移動時間や手作業の負荷が大幅に軽減。遠方に住む購入希望者が何度もモデルルームへ足を運ぶ必要がなくなり、顧客の利便性と満足度が大幅に向上した。紙資料の大幅削減によるペーパーレス化(環境負荷軽減)と、印紙代などの直接的コストの大幅削減を同時に実現した。
当サイトの独自考察とまとめ (Musubell)
東急不動産の事例は、大手デベロッパーが「環境経営」と「DX」という全社的ビジョンを背負い、不動産取引の根幹である新築分譲マンション契約をデジタル化した極めて先進的なロールモデルです。多くの企業が「部分的な電子化」に留まる中、同社はMusubellをハブとして、作成・承認から顧客の電子契約までを一貫したフローに統合しました。
成功要因は、単なるツールの導入に終わらせず、販売現場の多様な年齢層に対して「個別レクチャーを根気強く行った」という泥臭い社内浸透プロセスにあります。これが利用率80%超という驚異的な数値に表れています。また、遠方顧客のモデルルーム訪問回数の削減は、CS(顧客満足度)向上に直結する大きな付加価値です。
新築分譲マンション特有の「物件・住戸・共有者の管理体系」に最適化された本システムは、ブランド価値向上と、契約手続きの圧倒的なスピードアップ、および印紙代を含むコスト構造改革を目指す不動産デベロッパーにとって、必須と言える基盤になるでしょう。